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残業代未払い

ある残業代支払い請求事件

 Aさんは、あるブラック企業B社に勤めておりました。社長は些細なことで社員を怒鳴りつけることに何らの自責の念も感じていないような方でした。
 Aさんから当初、「社長をパワハラで訴えたい。」と相談を受けました。しかしパワハラで訴えるとなると、果たしてどこまで証拠が残っているのか?仮にある程度証拠が残っていたとしても、慰謝料額はそれほど多くはないのではないか?等クリアーしなければならない課題はたくさんあります。
 Aさんから話をお聞きしていると、B社における残業が凄まじいことが分かってきました。B社では、従業員を連日12時間以上の勤務体制で働かせていたのです。残念ながら、ただ働き残業の問題は、決して珍しいものではありません。
日本の企業社会に深く根を下ろした問題ですが、いざ従業員の立場で裁判を戦うとなると立証上の課題もあり、辛い戦いになることも覚悟しなければなりません。
ところで、このB社の労働実態を見てみると、「所定労働時間」が週6日勤務で一日12時間労働となっていて、週72時間労働にもなっているのです。
因みに、法定労働時間は、一日8時間、週40時間ですので、Aさんは実に週32時間ものただ働きをさせられていたことになります。
ただ働きさせている企業でも、普通所定労働時間だけは週40時間以内に抑えておくのが普通です。私は、B社の余りに大胆なやり方に驚くとともに、これだけブラックだと普通は採りえない方法でも勝負できるかもしれない、と思いました。
一般に残業代を請求する場合は、どれだけ残業をしたのかを証明しなければなりません。結構これは大変なことなのです。Aさんも、これまで相談した弁護士からは、この点を詰められ残業代請求はあきらめるしかないか?と思っていたようです。しかし、Aさんの場合は所定労働時間自体が法定労働時間を大幅に超えているので、所定労働時間だけから残業代を計算することができるはずです。
早速、過去3年分の未払い残業代を計算してみると実に1200万円にもなってしまいました。2年以上過ぎている分は時効になってしまいますが、取り敢えずこの金額をB社にぶつけてみました。
多少の紆余曲折がありましたが、Aさんは、B社から最終的に750万円の残業代を獲得することができました。当時Aさんは癌の手術を控え、経済的にも大変な状況に追い込まれていましたが、この残業代で苦境を乗り切ることができました。余りに会社がブラック企業であったため、残業代請求において勝利できた珍しい事例ということができます。

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